2013年5月28日火曜日

太陽光発電製品の利用?

本日のお話は「非常時における太陽光発電の優位性」ではなく、通常状態における太陽光パネルの利用についての主観になります。
人物紹介


<株式会社 ES>

・技術管理課
柾:課員(エネルギー管理員)

<総合研究センター>
山下:管理課(株式会社 ES 支援課)


ピピピピピピ

柾:「はい、技術管理課」
山下「支援課の山下です」
柾:「やぁ山下。一週間ぶり?」
山下「そんなところ。今大丈夫?」
柾:「急ぎの仕事はないけど、時間はかかる?」
山下「わかんない。柾次第かな」
柾:「ふむ。んで、なに?」
山下「実は、センターが省エネ対策として、太陽光発電を導入しようっていう話が出たんだ」
柾:「太陽光発電? 笑う所?」
山下「笑う所じゃないけど、やめておいた方がいいの?」
柾:「太陽光発電はね。 テクノロジー自体は問題ないんだけど、用途を限定しないと、ちょっと厳しい?」
山下「用途?」
柾:「一般的に最も普及しているのは、ソーラー電卓かな。今だと時計の電源にも使用しているケースもあるけど。他の補助電源として使用しているケースも探せば出てくるかなぁ?」


山下「そういう、ちゃっちい奴じゃなく、もっとアピールできるのがいいんだ」
柾:「アピール? といっても、どうせエネルギーの使用量の削減ありきじゃないの?」
山下「それはそうなんだけど………」
柾:「ソーラー発電設備は、金食い虫だぜ。それにいろいろ問題点もある」
山下「問題点?」
柾:「まぁ、電力会社虐め(バックアップ電源の問題等)という点はまずおいておくとして」

  1. 設置、撤去(廃棄コスト)に金がかかる。
  2. パワーコンディショナー(系統連系機器)の故障率が高い。
  3. パネルの10年故障率も低くはない。
  4. 年数が経つと出力が落ちる。
柾:「事業所でどの程度の規模の物を想定しているのかわからないけど、入札になるんだろ? そうなると、どんなパネルを持ってこられるかわかったもんじゃない。それだけじゃなく、どんなパワコンかもわからない」
山下「保証はあるんじゃないの?」
柾:「パネルの保障は10年で、パワーコンディショナーの保障は一年というケースもある。中には双方20年というサービス会社もあるけど、そういうのはどこも中国メーカーだよ」
山下「出力についても?」
柾:「『日照や汚れで変動するから』と言っていいわけで逃げられるよ。そういうのは事前協議しておかないと」
山下「どんな協議内容を交わしておく必要がある?」
柾:「発電量の算出は、年間発電量を、気象庁の出している日照時間と日照量の積算から割った値を基準値とする。また、パネルは毎月定期清掃を実施して、汚れによるパネルの発電効率の低下は考慮に入れない。初年度を基準値として次年度以降、基準値より算出値が設置から10年より前に3割落ちた段階でパネルの交換。とか、年一回パネルの発電効率の調査を行うとか、まぁやり方はいろいろかな」
山下「なるほど」
柾:「仕様書に盛り込んでもいいけど、業者は嫌がるだろうね」
山下「どうして?」
柾:「パワコンにしろパネルにしろ、製造会社と工事会社は別で、大抵は販売台の商社や電気工事会社と契約を結ぶだろ? 日本のメーカーでシャープや京セラ、パナソニックといった会社なら存続している可能性があるけど、中国や韓国といったメーカーの場合は存続辞退していないことも十分あり得るし、逃げ出す可能性もある。また、ソ-ラーフロンティアは昭和シェルのグループ会社だけど定期診断を受けろといろいろ条件が厳しいね。パネルの出力保障も20年で80%といっているけど、どこまで本気なのか疑わしい」
山下「なるほど」
柾:「ノイズの問題もあるし、事業者の場合はパワコンの出力も大きいからね。ノイズを気にするならパワコンの複数設置による電波強度の拡散も検討した方がいい。例えば10Kw相当入れるなら、パワコンは5台設置するとか?」
山下「5台も!?」
柾:「10Kw対応のパワコン一台の方が設置個所の問題も管理も楽なんだけど、出力が大きければ大きいほど、スイッチングノイズの影響が大きくなるからね。研究系だと計測器への影響を考慮しないといけないでしょ? これはノイズ対策だけじゃなく、2Kwを5台の方の場合、仮に1代が壊れたとしても出力は20%しか低下しない。1代だと壊れた場合は100%低下となるから。」
山下「その方向で検討した方が無難だろうなぁ。パワコンの出力は2Kwでいいのかい?」
柾:「出力容量はあくまで一例で、山下の所がどの程度の規模の物を入れるかによるだろうなぁ。そのあたりは考え方だよ。個人的には、導入しない事を進めるんだけどね」
山下「まだ何かあるの? 聞いている範囲じゃ、気を付ければ問題なさそうにも思えるけど」
柾:「地域のソーラー発電の規模が大きくなってしまった場合、気象条件による出力変動に電力会社が対応せざるを得ない点が問題になってくるんだよ。高負荷による電圧変動やら電流不足やらの影響をもろに受けるリスクが高まる。これはまぁ、一事業場の設置の有無は関係ないけど」

山下「それは、電力会社が考える事じゃないの?」
柾:「その通りだけど、その場合、電力会社は、設備維持のコストはそのままだから、薄利多売方式から高利小売方式か基本料金の値上げという対応を取らざるを得なくなる。買取価格も下がってきているわりに、単価が上がったり基本料金が上がったりして、トータルで割高になっちゃ意味ないっしょ?」
山下「それは入れなくても付きまとう問題じゃ?」
柾:「厳密に計算してないけど、『入れない方が損』かもしれないね。これは常に変動するから一概に言えないけど……ただ、電力会社も政策上、環境の良い条件下で出力低下しないというありえない条件下の元、ぎりぎり導入コストを回収できるレベルで単価調整はするんじゃないかな?」
山下「なるほどね。そういえば、停電時の感電とかのリスクは?」
柾:「震災時の例でいえば、停電、パワコンは外部へ(内部に対してもだけど)出力を停止する機能がある。パワコン内にコンセントがあるから、1.5kwまではそこから電力を個別に取り出すことが可能。一応、感電のリスクは考慮されて設計されている、、、と思う」
山下「『と思う?』」
柾:「あ~うん、日本製の場合は日本の規格でそういうのがあるだろうけど、海外製はあっちの規格基準だし、それがどこまで守られているかという点と、日本の規格に合わせて本当に作られているか?という、、、まぁ、信用に関する部分が疑わしいんだよね」

山下「サンテックパ●ーとか?」
柾:「メーカー名は言及しない。それにこの機能についても、地域の太陽光発電率が高いと、、、これは個人的に感じていることで根拠はないんだけど、、、遅れが生じる心配があるんだよね」
山下「遅れ?」
柾:「負荷が発電量を下回っている状況下で送電線が断線した場合、閉じたエリア内では負荷が発電量を下回っている限り通電し続ける、、、というリスクかな」
山下「そんな可能性があるの?」
柾:「発電した電気を一旦変電所にもっていく、『行』専用の電線を引っ張ってるわけじゃないから、おそらくパワコンの仕組みは入力側の電圧が一定値以下になった場合働く仕組みなんだと思う。もしそうなら、負荷が発電量を下回っている限り、電圧は落ちないから……」

山下「そういう可能性があるのか?」
柾:「あるんじゃないかなぁ?というレベルだけどね。電力会社の人じゃないから、それは分からない」
山下「なるほど、そういう懸念もあるのか」
柾:「だから、ソーラーパネルの技術自体に問題があるんじゃなく、その運用方法に問題があると思っているんだよ。先に挙げたような、独立電源の場合は問題ないと思うし、他にもディスプレイ用のターンテーブルや道路鋲、道路工事時の保守灯は、従来の電源に比べても利便性と導入メリットは高いと思ってるよ」
山下「でもそれじゃぁ、エコやってますというアピールも薄いし、エネルギーの使用量の削減としても数値が積みあがらないんだよね」
柾:「まぁ、気持ちはわかるよ。省エネ対策と言っても限界点もあるから、そこから差に削減となると、エコ発電という方向で対応せざるを得なくなるのはねぇ」
山下「うまい方法はないかな?」
柾:「アピールなら、殺虫灯からソーラー誘蛾灯に変更して、エコで自然に優しい、とかアピールする手もあるけど、消費電力の削減量は微々たるものだなぁ」

山下「それ、効果あるのか?」
柾:「外灯が水銀灯だったりメタハラだったりすれば、そっちに誘導されちゃうだろうね。家庭でも家の照明が漏れてたら、そっちに誘導されるかな」
山下「駄目じゃん」
柾:「他の照明がUV対策された物なら効果があるってことだ。外灯を高圧ナトリウムにして、居室系をUVカットランプにすれば問題はないよ」
山下「UVカットランプって高いんじゃ?」
柾:「蛍光管の単価で言えば、多少は高いよねぇ……単価で100円くらい?」
山下「元値は?」
柾:「500円かな」
山下「コスト回収できねぇよ!!」
柾:「まぁ、UVカットランプではなく、今後は省エネ対策として照明はHfからLED照明に置き換わるだろうから、それに併用する意味合いでは有効じゃないかな」
山下「LED照明は、非推奨じゃなかったか?」
柾:「問題点をきちんと認識して、運用できれば問題ないよ。配光の問題も横に広がるやつをきちんと製品を選ぶことが出来れば、今言われている問題点の多くはすでにクリアできる製品は登場しているからね」
山下「そうなのか?」
柾:「一昔前なら駄目だけど、昨今のLED事情で言えば、ベースライトタイプを入れときゃ、よほどのことがない限りは問題にならないよ。とりあえずはソーラーだろ?」
山下「ああ、うん。こう、なんか、ガツンとエネルギー使用量を減らせる奴はないのか?」
柾:「独立電源をもたせりゃなんでもいけるが、コストがかかるからなぁ、、、、、、あとは、電源レス、電池レスのソーラー換気扇とかかな」

山下「換気扇? 独立して動くのか?」
柾:「簡単に言えばそう。高温の空気は上昇するから、天井裏の蓄熱ガス(空気)を廃棄してやることで、エアコンの効率を上げることが可能。また、換気扇(ロスナイなど)は今の高気密高断熱建築物の場合は設置と運転が必須だから、その分のエネルギーの削減にも繋がる。一挙両得製品かな」
山下「ほうほう。でも今まで言わなかったってことは、何か問題があるんだろ?」
柾:「夏場はともかく、冬場がな。北国ではお勧めできないが、南国じゃおすすめできる製品だから」

山下「冬場は効率低下を招くと?」
柾:「たぶん。こういった製品でも、サーミスタ搭載型で、屋外温度から排気だけでなくではなく吸気を自動で切り替え機能付きなら、冬場でも進められるんだけどね」
山下「?? よくわからんのだが」
柾:「夏場の暖かい空気は天井裏から排気、冬場は単純に吸気で床下から排気する仕組みならいう事はないかな」

山下「ふむ」
柾:「熱交換機能があれば尚よしではある」
山下「これならエコにつながると?」
柾:「換気扇やロスナイの消費電力は一台40W前後だろ? 25m2に一台換算で、建屋10台。0.4Kwh×建屋数かな。日が落ちても管理しているのは温度だから、定時までなら余熱で十分間に合うと思う。問題になるのは冬の天気が悪い時の換気だろうけど、そういう時期は廃棄量の少なさはそのまま排熱量の量に比例するから、そう悪い話ではない」
山下「換気が不十分にならないか?」
柾:「その時は既存の物を動かせばいい。だけどまぁ、マンションやオフィスビルのような24時間運転が義務付けられるような建屋でなければ、それほど気にする必要はないと思うけどね」
山下「ないわけじゃないんだけど」
柾:「あったねぇ。でっかいの。はっきり言って最上階は室外より暑いから、夏場はしっかり排熱と吸気させてやるだけで全然違うと思うし、冬場は最上階の排気を熱交換してやって、その空気を1Fに持ってくる循環システムを入れる仕組みを考えたら?」
山下「曇ったら?」
柾:「商用電源切替機ってのがあってな、それを使えばいいんだよ」
山下「オンオフが激しくて壊れないか?」
柾:「バッテリー使用前提だけど、バッテリーの無負荷状態の電圧でONになったりするケースもあるからな。ようは、高速スイッチングを回避できればいいわけだから、蓄電器はバッテリーではなく低容量でいいからウルトラキャパシタを使用する事で回避するという考え方で行けると思うが」
山下「キャパシタの場合、すぐになくならないか?」
柾:「秒間に何度も切替されることが問題になるのであって、10秒程度もてばいい十分だと思うけどな。まぁ、切り替え装置の方で商用に切り替わった時に最低でも数分は運転モードが固定される仕組みになっていれば問題はないだろうけど」
山下「太陽光側は急激に変動しないのか?」
柾:「日間グラフだとギザギザだけど、分単位のグラフならそこまで急激な変動を繰り返しはしないよ。急激に曇って急激に明るくなったりを繰り返すような気持ち悪い天候が発生するわけないじゃないか。それに、バッファの為のキャパシタがあるんだからバッファに電気がたまるまでは電圧は降下したままだとおもうけどね。まぁ、どっちでどのように制御する課は設計次第。製品として製品化されているなら気にしなくていいし」
山下「ない場合は?」
柾:「自分で設計しないといけないねぇ」
山下「それは………めんどくさいな」
柾:「そう? 太陽光発電を系統連系する場合、電力会社に提出しなきゃいけない書類の作成に比べたら、系統連系市内この方式の方がはるかに安全でめんどくさくないと思う」
山下「そんな書類の話、聞いたことが無いけど」
柾:「結果として太陽光を入れざるを得ないかもしれないけど、そういうのは調べておいた方が良いよ。電気主任技術者はなにやってんの?」
山下「公務員だぜ。外様で中身なんてわかっているはずないじゃないか」
柾:「ご愁傷様」
山下「長々突き合わせて申し訳ないんだが、柾としては結局どうなんだ?」
柾:「やらないに一票かな。いろいろ案を行ったのは、どうしても入れなきゃいけないという前提があるからの対処療法」
山下「わかった。こっちで案も含めてちょっとネゴしてみるわ」
柾:「悪いね、あまり役に立てなくて」
山下「んじゃ」


余談

世の中、権威のある人の個人的な感情で「やる」といったものに対して、反対意見を言うのは大変です(^_^;;

2 件のコメント:

  1. 日本の送電品質は世界的に見てとても高いものです。欧米ではsin波でなくても実行電圧さえ、基準値にあれば無問題といういい加減なところもあると言います。ま、そうでなければ再生可能電源なんていう低品質の電源を使えないのでしょうが・・・
    個人的には電気料金が上がるんで、太陽光発電はもう増やして欲しくないです > <

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    1. 少なくてもバッテリーとセットで現在の価格と同等での販売という形態をとってほしいですよね。
      まぁ、それでも価格上昇は抑えられないのですが。
      しかし、シャープはやってくれますよ。タイで。
      シャープ、タイで約84MWの大規模太陽光発電所が完成
      むしろタイではなく中国でこれをやって、他の企業の撤退の促進をしてほしかったw

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