2015年6月7日日曜日

起死回生 その1

会社経営が厳しく、社長は社員に対して起死回生の策が何か無いか求めた。厳しい意見でも話を聞くという。

新入社員「某空港会社の社長のように、会社を支えている第一線の人と同程度の給与に下げ、食事は社員と同じように社員食堂でとられてはどうですか? 社長だけでなく管理職全員がそれをやれば、コストの削減だけでなく、社員の団結力も高まると思います」

品質管理責任者「資材の調達を国内から海外に変更しましょう。国内品は品質が安定しててよいのですが高いのがデメリットです。海外製は品質が安定していないのが難点ですが、その分安く済みます。何かあった場合は顧客から厳しく非難されますが、そこは社長を含めて管理職が頭を下げるしかないでしょうが、、、リスクをとらなきゃ解決できないことだってありますので、そのあたりは覚悟を決めてください」

産廃責任者「とにかく、売却可能なごみの分別を徹底しましょう。産廃処理していたものを売却できれば、それだけで差額で年間50万程度は違います。売却した製品が不法投棄され、当社が売却した廃棄物であるとわかっても、売却は有価物ですから、産廃のような法的責任はありません」

エネルギー管理員「設備の大規模更新を実施しましょう。導入費が嵩みますが、効率がよくなるので運営費が大きく下がります。維持費も今の設備より安くなりますんで年間あたりの経費削減料として数百万以上は硬いですよ」


環境管理責任者「ISOの認証登録を返上しましょう。それだけで対応含めて年間100万円以上のコスト削減が達成できます」


各自の意見を聞いた社長は思った。
(昼食はともかくとしても、給与下げるなんて現実を知らない奴だな。絶対数が違うんだから下げるなら平社員に決まってるだろうが)
(品質管理で問題が起こったら頭下げるなんてふざけたことをいうやつだな。そもそも今の取引先とは俺が懇意にしているんだから変えられるはず無いだろ)
(産廃はむしろ何で今までやってなかったんだと問い詰めたい。それに、そんな微々たる額を問題にして無いんだってわからない奴だな)
(設備の更新とか、どっからそんな金があると思ってるんだ? 金が無いから困ってるんだろが)
(ISOはマジ返上したいけど、返上したらいろんなところの説明がめんどくさいから維持継続だな)

こうして厳しい意見を取り入れなかった会社は倒産し、社長は結果として大きな負債を抱えることになった。

0 件のコメント:

コメントを投稿