2013年10月6日日曜日

結局電球買うなら何がいいの?

久我山「柾さん。今度、LED電球を購入するつもりなんですけど、どれがいいか教えてもらってもいいですか?」
柾「ルーメン÷消費電力が100以上の製品。1000円以下ならやめとけ」
久我山「や、それじゃよくわかんないっすよ」
柾「つってもなぁ。LED電球は乱立してて、どれがどうというのを追っていく気力がないんだよなぁ」
久我山「乱立っすか?」
柾「LEDは第四とも第三とも呼ばれる世代の電灯なんだよ」
久我山「照明に世代なんてあるんですか?」
柾「第一世代は白熱球、第二世代が蛍光灯、第三世代がLEDつってる」
久我山「第四の場合は?」
柾「第一にランプとかロウソクとかが来る場合かな」
久我山「でも、それと乱立に何の関係が?」
柾「大枠で電灯に世代があるように、各電灯の中でも世代ってものがあるんだよ。世代と明確に分けているかはまぁべつだけど」
久我山「聞いたことがないですね」

柾「蛍光灯の場合、大枠でグロー、ラビット、インバーターってな感じで種類があるだろ。まぁ、そんな感じでLEDにもあると思ってる」
久我山「蛍光灯は聞いたことがありますね。でも、おんなじようなのをLEDじゃ、聞いたことがないっす」
柾「確かに。でも、蛍光灯のこの世代の違いは、点灯方式の違いの他に、効率の違い、寿命の違いもあって世代分けかな」
久我山「LEDでも、そういうものはあるんですか?」
柾「LEDの場合、進化は日進月歩で、蛍光灯のような大幅なモデルチェンジはないからね。とはいえ、信号用途から話せば、大枠で、信号用、ミニランプ用、スポットライト用、照明用と段階は踏んでるよ」
久我山「その段階わけだと、今は第四世代あたりになるんですか?」
柾「う~ん、そうだね。まぁ、今は第四世代と第五世代の中間期ってところかな?」
久我山「第五世代?」
柾「大幅に寿命の変化、効率の変化をしているわけじゃないんで、世代分けする必要はないかもしれないんだけど」
久我山「少なくとも、気にする点はあるんで?」
柾「LEDって他の照明と違って、特定の波長の光を発振するんだよね。まぁ、その特性を利用して他の照明にはない機能を持たせた照明が出てきてるわけだけど」
久我山「赤色とか青色とか、フルカラーとか色々できますよね。ピンクでお休みモードとか」
柾「そう。んで、照明用途は基本、青色LEDに黄色の蛍光体を組み合わせて白っぽく見せている疑似白色だけだったんだ。で、それがRGB波長をきちんとバランスよく出すタイプのLEDがちらほら出てきているのを第五世代と。中身は全然違うんだよ」
久我山「でも、疑似白色でも白なら問題ないんじゃ?」
柾「演色性が違うし、疑似だから実際は青っぽく見える。白に近づけようとすると今度は黄色っぽくなる。蛍光灯からの乗り換えだと違和感があるぜ」
久我山「そんなもんですか?」
柾「う~ん、例えば、ホールで水銀灯を使っているところがあるだろ。照度的にはオフィスと変わらないんだけど、あそこで細かい作業とかやりたいか?」
久我山「出来ないことはないと思いますが」
柾「だけど、かなりストレス、、、特に目が疲れる結果となるぞ」
久我山「そんなもんなんですか?」
柾「人間の目ってのは、優秀だからある程度の融通が働く。でも、その分負担をかけるわけだから、疲れるのは道理だよ」
久我山「あまりハッとしないっすね」
柾「他にもある。演色性が悪いってことは、光の波長に偏りがあるってことだからな。物の色ってのは、照射された波長を反射したり吸収したりする特性があるから、演色性が悪いと、ものの見え方が変わってくる」
久我山「へー。それは初耳っすね」
柾「食事とかがいい例だね。赤っぽい照明を照らすと、肉は赤く見えて美味しそうに見えるじゃん。逆に、演色性が悪いと美味しくなさそうに見える」
久我山「ふむふむ」
柾「LEDとは直接関係ないけど、光でいろいろムードを醸し出したり臨場感を出したりする演出が有効なのはわかるよね?」
久我山「はい、それならわかりますね」
柾「そういう感じで、光の色や波長ってのは、人間に与える影響は少なくないんだ」
久我山「ほうほう」
柾「だから、特に演出などを必要としない場合は、出来るだけ太陽に近いスペクトルが好ましい」
久我山「疑似白色のLEDだと難しそうですね」
柾「蛍光灯でも難しいよ。ベストなのは白熱球だね」
久我山「白熱球っすか」
柾「って、話がそれたなぁ。つまり、スペクトルはそれだけ人間に影響を与える。エネルギー効率や寿命、明るさに直接影響がないといっても、疑似白色から、RGB白色に変更し、演色性が改善されるってのは、見えにくいが聖代の違いと評していいくらいの違いはある。というのが俺の感想なんだ」
久我山「なるほどね。ちなみに、演色性が良い疑似白色ってのはあるんですか?」
柾「あるよ。Ra85くらいまでかな。捜せばもっといいのがあるかもしれないけど、、、、あ、評価基準はRa100が一番良いね」
久我山「ちなみに、蛍光灯の演色性は?」
柾「演色性が改善されている値段がちょっと高いランプを用いたものなら、Raは90近い。普通のラビットやインバーターならRa75~85の範囲。このあたりは蛍光灯とLEDで差はない。でも、演色が改善されたLEDならRa95とか行く。効率が悪いけど」
久我山「あっちを取ればこっちが立たず、、、ですか。ブルーライトの問題は?」
柾「あれは輝度の問題で、面積当たりの光束量と照射範囲次第で、波形特性から言えば、蛍光灯もブルーライトハザードは発生する」
久我山「……初耳っす」
柾「モニタのバックライト程度なら、リスクは同じだよ。あれはきちんとした報告書を見ると、パワーLEDのダウンライトの直視するという前提の元の話だし」
久我山「じゃぁ、LED電球でも光束の大きいやつは同じ問題が?」
柾「刷りガラスっぽくして分散させている奴や、乳白色カバーのついている奴は基本大丈夫。ブルーライトハザードを警告している報告書にもその旨は記載されているよ」
久我山「へー」
柾「なんで、電球もそうだけど、モニタもブルーライトハザードについては気にしなくていいよ」
久我山「うっす」
柾「で、話は戻るけど、LEDについては技術が日進月歩の為、古い物や新しい物が混在しているんだよ。それを一々調べるのはめんどくさい。また、安いやつは大抵は一世代から二世代古い。この手の話ってのは安いのが基準で話されるしなぁ」
久我山「古いとまずいっすか?」
柾「導入するメリットがない」
久我山「メリット? 何と比較してですか?」
柾「まず、価格だな。蛍光灯タイプか白熱球でおつりがくる」
久我山「蛍光灯ならともかく、白熱球で、ですか?」
柾「ライフサイクルアセスメントを考えない。という前提での話だけどね。トイレなら白熱球、風呂場なら蛍光灯、廊下でも蛍光灯、居室なら蛍光灯(ツインパルックやスパイラルパルック)を進める」
久我山「LEDは?」
柾「ガーデンのスポットライトも白熱球だからなぁ。センサーと連動させるなら、センサーが既存ならトイレも廊下も玄関も、実は白熱球。新設ならセンサー内蔵のLED」
久我山「もうちょっと詳しく」
柾「蛍光灯はON-OFFに強くない。だから、トイレなんかに蛍光灯電球を使うと、白熱球より早く寿命が来る。交換頻度に目をつぶる&100円ショップなどの激安店で購入するなら蛍光灯電球に軍配が上がるけどね」
久我山「激安前提なら白熱球ではなく蛍光灯電球なんすね。ちなみに、LED電球も100円になった場合は?」
柾「迷わず買えよ。買えば分るさゲフンゲフン。LED電球と言いたいところだけど、何とも言えない。だけどまぁ、100円ショップにもし並んだ場合なら、購入もありかな」
久我山「あ、やっぱりw」
柾「一世代、二世代のLED電球と蛍光灯電球の差は単純に値段だしね」
久我山「了解です。じゃぁ、安いのを買うなってのは?」
柾「中途半端に安いのは買わない方がいいってことと、トラブルが多い点もマイナス。100円ショップに並ぶくらいなら、多少悪くても諦めがつくし、本当に悪すぎるものは100円ショップには並ばないから」
久我山「100円ショップって品質悪いんじゃ?」
柾「悪いよ」
久我山「なら、問題の解決にはならないんじゃ?」
柾「企業としてもブランドのイメージがあるから、そこまではずれな物は店としても置かない。企業の社会的責任を問われるからね」
久我山「つまり、ギリギリの品質は保たれると」
柾「寿命はあきらめた方がいい。とはいえ、それでも蛍光灯電球程度の寿命である六千時間から一万時間は担保してくれるだろう。怖いのは発火だよ。それはさすがにないと思うんだよね」
久我山「火事は嫌っすね」


閑話休題

-らいふさいくるあせすめんと-

久我山「LEDは環境に考慮された製品だと思いますけど、エコを考えるなら選択としてはLEDを選んだほうがいいんですか?」
柾「どこに比重を置くかで変化するけど、基本的に省エネルギーとエコロジーは切り分けたほうがいいよ」

エコロジー
エコロジーは、狭義には生物学の一分野としての生態学のことを指すが、広義には生態学的な知見を反映しようとする文化的・社会的・経済的な思想や活動の一部または全部を指す言葉として使われる。後者は英語のEcology movementやPolitical ecologyなどに相当する。以下の記事では主に後者の説明をする(狭義のエコロジーの説明は生態学を参照)。後者の内容は、「環境に配慮していそう」なファッションなどから、「地球に優しい」と称する最先端技術や企業活動、市民活動、自然保護運動、「自然に帰れ」という現代文明否定論まで、きわめて広範囲にわたる。
エコロジーの省略形「エコ」は和製英語である。

言葉の内容

公害を出さない(最近では「環境への負荷」を減らすという)ための活動を指し以下のようなものがある。

従来の公害源であった部分の改良
二酸化炭素の排出削減
自然環境を損ねる化石燃料や電気(火力発電)の消費抑制
太陽熱・太陽光や風力などの自然エネルギーの利用促進
再利用された素材の使用
再利用のしやすい構造の採用
水質浄化や有害物質の除去
その他、なんらかの意味で健康に良好

自然保護に関わる活動として

自然に親しむ活動をする
野外の廃棄物やゴミを片づける・環境浄化の作業を行う
自然の再生や多様性の増加を目指す作業をする
希少な自然を守る

※Wikiより:エコロジー

久我山「省エネはエコだと思ってましたけど」
柾「エコという言葉についての使い方は人それぞれなところもあるけど、個人的に原則として、同等の目的で作られた製品との比較されることが前提にあるよね?」
久我山「???」
柾「LEDだと、蛍光灯や白熱球。もし、これらの製品が存在せず、初めて出る電灯器具がLEDだった場合、LED照明をエコとか省エネと表現するかい? 車でもいいんだけどね。結局、この辺は従来品や同等品との比較を持って初めて意味を成す言葉なんだ」
久我山「そう言われると、なんとなくわかります」
柾「んで、じゃぁ、LED電球や蛍光灯電球は廃棄時にリサイクルに向いているか? 有害物質を使用しているか? と言う部分を考えると、白熱球に軍配が上がると思わないか?」
久我山「それだと、蛍光灯は水銀が含有している関係で、廃棄場所は国内では二カ所しかないって聞いたことがありますね。となると、蛍光灯とLEDを比較すると、環境に優しい」

柾「再利用のし難さは、処理できる業者を限定してしまう。それから見れば、蛍光灯は「有害ごみ」でLEDは「燃えないゴミ」。LEDに軍配が上がる」
久我山「有価では引き取ってくれないんですか?」
柾「どうだろう? 小型家電リサイクルでも割れやすいものと蛍光灯は除外されているけど、電球自体は対象となっているから、有価物で買い取る業者が居ても不思議じゃないかな」
 小型家電リサイクル法が4月1日から施行

久我山「再資源のしやすさはわからないけど、再資源の品目ではあるんですね。産廃でしか出せない白熱球よりかは、エコっぽいきもしますよ?」
柾「白熱球も蛍光灯も再資源化されているよ。単に、再資源にかかるコストが有価物として販売するときのコストを上回るから有価物になってないだけで」
久我山「ありゃ、そうなんですか」
柾「そのうえで三つを比較すると、部品点数の少ない白熱球が圧倒的に安い」
久我山「なんで有価物にならないんですか?」
柾「鉄の部分がほとんどないし、再資源化されたガラスなんて屑みたいな値だし、そもそも原価が安いし、再資源化出来るけど埋めた方が安いから埋め立ててる自治体も多いしな」
久我山「値段的に言うなら、蛍光灯とLEDは大して変わらないのでは?」
柾「大別すると、LEDは鉄系とプラ、蛍光灯はガラスと水銀と鉄系。蛍光灯の方が多いし、また水銀は再資源化しても使いようが無い。LEDは冷却の為の鉄系部分の含有量がけた違いに多いのも特徴だね」
久我山「じゃぁ、蛍光灯が一番環境に悪いってことですか?」
柾「エコロジーの有無を言えば、買い替えサイクルの頻度も軍配上がるから、白熱球、LED、蛍光灯だと思うね」
久我山「ちょっと意外ですね。柾さん、LEDより蛍光灯を押してませんでしたか?」
柾「話のテーマが『エコロジー』だったからさ。省エネを考えればLEDだよ。買い替えサイクルまで見た費用対効果でみれば、今はまだ蛍光灯に軍配が上がる」
久我山「なるほど」
柾「それに、安全面を見ればLEDは規格が安定してないし、回路の設計も変動が激しい。照明としての歴史も短いからリスクの球出しも不十分だよ」
久我山「え? でも、ISOって環境側面の抽出は必須なんですよね? リスクの球出しって環境側面の抽出と同義でしょ? なら、ISOを取っているところはそういったリスクは全部洗いだしているんじゃないんですか?」
柾「ISOのマネジメントシステムに一般安全の規格はない。あえていうなら、品質マネジメントシステムの所掌だろうが、、、」
久我山「環境側面と抽出に該当するものがないと?」
柾「それ以前の問題かな。設計上の問題を評価するための基準がね。まだ十分じゃないんだよ」

久我山「基準? ISO意外に?」
柾「結局、ISOってやつは、国の定めた法令やJISといった規格におんぶに抱っこの寄生虫だよ」
久我山「なにそれ、それじゃ、ISO自体に意味ってあるんですか?」
柾「JABは益虫のつもりだろうが、実態は害虫でしかない」
久我山「それは酷い」
柾「まぁ、そんなわけで、良し悪しを判断するための技術的な基準値ってのが、まだまだ未熟なんだよ。LED照明ってやつは」
久我山「蛍光灯よりエコロジーでも、安全性を考えるなら除外した方が良いってことですね」
柾「そういうこった」

2 件のコメント:

  1. 40W直管型で、既存の蛍光灯器具にそのまま取り付け出来る、チラつきの出にくいタイプで何かオススメは有りますか?会社で「省エネポーズ」でとして使いたいらしいんですが・・・

    返信削除
    返信
    1. 名古屋鶏様、まいどです!
      もうしわけないっす。当社の場合、既存の改造なしは、はなから導入対象外だったため、近年は調査しておりません。
      (理由は、発火や火災事故の多くが、工事不要タイプによるものだった為です)
      導入を検討されるということですが、既存の物に取り憑けるモノ、含めてG13口金に取り付けるタイプのLEDは、全て規格外品扱いとなります。(JIS C 8159-1)
      また、JISの制定にもついてもソケットだけでなく、今年度から来年度にかけて整理・制定されますので、
      記事:業界規格JEL801がJISへ、まずは安全性を定める
      デモ機用としては、E26ソケット(電球タイプ)のご検討をお勧めいたします。

      削除