2014年4月8日火曜日

再生可能エネルギーが二割?


記事:エネルギー基本計画が閣議決定へ。各方面の要望をテンコ盛りでボヤける全体像


片岡「柾、政府が再生可能エネルギーを2030年に2割を占める形にするっていう方針があるんだが、知ってるか?」

柾「ええ、まぁ、知ってます」

片岡「当社も、それに合わせて再生可能エネルギーってのを導入して、グリーンをアピールしようか? という話が経営層の中で上がっててな。目標としてはエネルギー需給率の二割を再生可能エネルギーに置き換えるというものなんだが、お前の意見を聞きたいんだが」

柾「グリーンをアピールすることで、会社によってどのような有益な影響があるのか、具体的に試算はされているのですか?」

片岡「そういうのはやっていない。いや、やらないといけないんだろうが、、、、おそらく適当になるだろうな」

柾「まぁ、数値に根拠がない、希望値(期待値ですらない)が独り歩きするのが目に見えていますね」

片岡「他人事だな。最終的に、その辺の数値はお前に出してもらうことになるだろうな」

柾「ちょ、まってくださいよ!? なんで私が!?」

片岡「いや、だってほかに出せる奴は当社にはいないだろう? 相田に任せてもいいが、結局つぶれるだけだ」

柾「つぶしてしまうわけにはいかないんですか? いえ、まぁ結局、相田は課長に泣き付いて、課長は最終的に『お前なら何とかできる』といって、反論無視してこっちに振ってくるのは目に見えているんですけども」



片岡「数値を出すことが要求だから、だれがつぶれようが上にとっては関係ないだろうな」

柾「そっすよねー」

片岡「それで、お前の意見としてはグリーンはアピールしないってことか?」

柾「しないで済むに越したことはないかと」

片岡「その理由と、しなくてはならないという場合は、どういったものがある?」

柾「う~ん、まずしない理由から始めると、再生可能エネルギーというのは言葉としては正しくないんですよね」

片岡「正しくないとは?」

柾「正しくは『再生可能エネルギー』ではなく『自然エネルギー』を基準としているんですよね。だったら、自然エネルギー発電でいいじゃんと」

片岡「再生可能とした理由があるんじゃないのか?」

柾「バイナリ―といった工場からの排熱発電が再生可能エネルギーに分類されているなら、まぁ納得してもよかったんですけど」

片岡「再生じゃだめだと?」

柾「再生って、使用済みの燃料やエネルギーのリサイクルという意味じゃないですか。自然エネルギーって使用済みじゃないですよね?」

片岡「使用済みって扱いじゃないのか?」

柾「自然にある資源を使用しているという位置づけなら、石炭や石油も同じですよ?」

片岡「そっちは無限じゃなく有限だからじゃないのか?」

柾「無限と有限の違いから「再生」の言葉が作ってのは、理屈が通りませんよ。マテリアルサイクル的なものでもありませんし」

片岡「言葉の使い方が間違っているから、グリーンをアピールしない方がいいと?」

柾「グリーンエネルギーの位置づけを問われて突っ込まれると、途端に答えられなくなりますから」

片岡「環境省でそう定義しているから、じゃだめなのか?」

柾「突っ込む人は突っ込みますよ? 温暖化自体が懐疑的で疑われ、信用がないですからね。内容次第、答え方次第じゃ、『この会社わかってねー』っていう感じで、逆にマイナスイメージを持たれます」

片岡「それは考えすぎじゃないのか?」

柾「そうでしょうか? そうでないにしても、環境省とか省エネ活動とか関係なく、会社としてきちんとした根拠と考えのもとに導入したという言葉は持っておく必要はあると思いますよ」

片岡「地球環境に貢献する、でいいんじゃないのか?」

柾「お愛想は見破られますよ? 逆に片岡さんは、そういうエネルギーを導入している会社のアピールに魅力を感じますか?」

片岡「……そういわれると、「あ、そう」「へー、そうなんだ」くらいだな」

柾「契約上の縛りがあるならともかく、ないのであればやらないに越したことはありません。やるなら本気で取り組みましょう」

片岡「本気とは?」

柾「毎年数十億円を投資する覚悟です。しかも、成功する保証もないです」

片岡「それじゃぁ、経営層は動かないだろうな」

柾「でしょうね。それがわかってるから、やらないに越したことはない、という意見に集約されます」

片岡「下手な活動は、アピールにならないということか」

柾「はい」

片岡「なら、しなくてはならないという前提ならどうする?」

柾「中身はどうでもよくて、客受けがよさそうな活動でしょうか」

片岡「受けがいい?」

柾「アピールが目的で、手段として地球環境という言葉を利用しているだけでしょう?」

片岡「そういう言い方は、身もふたもないが」

柾「イニシャルコストしか頭の中にはない人たちが相手でしょうから、投入資金の回収はあきらめてもらう必要があります。そのうえでいえば、グリーンオブジェクトでも設置したらいいんじゃないでしょうか?」

片岡「グリーンオブジェクト?」

柾「便宜上そう呼んでるだけで、そういう言葉があるわけではありません」

片岡「ふむ。それで、その中身は?」

柾「まずは、エコ・ドアのミーモでしょうか?」

片岡「なんだそりゃ?」

柾「電気を使わない自動ドアです」

片岡「ふーん、なんでまたこんな製品を?」

柾「メリット・デメリットは当然ありますが、客にアピールするとなると、客が体験できるアイテムとしては分かりやすいですからね」

片岡「問題はないのか?」

柾「開閉速度や自重連動なので、沈む感覚がダメな人はだめかもしれません。目新しいわけではないですが、珍しい製品でもありますし、下手な似非エコよりはよっぽど効果があるかと」

片岡「なるほど、でも省エネとしてのアピール力は小さいよな」

柾「大規模にエネルギーを削減しつつ、アピールも兼ねるが、コストは抑えろというのはわがままですよ」

片岡「経営層とは、わがままなものだ」

柾「ハトポッポじゃあるまいし」

片岡「他にはないのか?」

柾「アピール度外視なら、負荷の高い空調設備を定期的に更新する方が、省エネになりますよ? 今だと平準化しなきゃならないですから、氷蓄熱型も検討対象にん入れなきゃならないでしょうけど」

片岡「夜間電力を使用すると?」

柾「維持費度外視なら、ファンコイルユニットという選択もありますが、そういうのはぺけでしょうしね」

片岡「言いたいことは分かるが、省エネとしては地味で見えにくいだろ?」

柾「そりゃわかってますよ。だから、そもそも要求が無茶なんですよ。『金は出さないが成果を上げろ』なんてのは。無茶振りする経営層ってのは、会社を私物化しているだけですよ。下がついていきませんし、そもそもそんな画期的な方法があれば、みんなとっくに実施済みですわ」

片岡「まぁ、そりゃな。とはいえ、もっとアピールは求められるぞ。他にないのか?」

柾「打ち合わせスペースの照明をLEDにでもしますか?」

片岡「ああ、そりゃいいな。って、今入れてなかったんだっけ?」

柾「基本は人感センサーとかそういったセンサー類と連動させて使用する箇所ばかりで、居室系に入れてませんよ」

片岡「なんで?」

柾「トラブル時の対応が大変だからです。ランプが切れた場合、交換のために工事が必要になったり、必要でなくても交換品が専用品だったり特殊品だったりと混在していますから」

片岡「そのくらいの理由?」

柾「安全上の配慮ですよ。それに、作業環境的な問題もあります。配色まぁ横に置いておくとしても、蛍光灯は配光パターンが円形に近いので、手元の乱影になりますが、LEDの場合は乱光になりにくく、影が濃くなります。となると、手元が以前よりも暗くなるんですよ」

片岡「そういうデメリットがあるのか?」

柾「製品によっては克服したものも存在しますが、そういう製品の選択は難しいんですよ。評価する側の能力が求められます」

片岡「柾はできないのか?」

柾「できますよ。ですが、入れたということで勝手に工事している個所もあります。そういう暴走があるから、できればやめたいんですよ。よほどどうしてもって状況じゃないと、入れたくはないですが、他になければ仕方がないでしょうね」

片岡「なるほど、でも、客受けはいいんじゃないのか?」

柾「微妙ですね」

片岡「なんでだよ、みんなLEDは好きだろ?」

柾「嫌いな人もおりますよ?」

片岡「なんで?」

柾「LED電球の表示の問題で、LEDそのものの信頼を市場が失ってしまっていますから。60W相当って書いているのに暗くなったというクレームが当初相当すごかったという話は枚挙に聞きました」

片岡「それは、聞いたことがあるなぁ」

柾「きちんとした製品は問題ないんですが、そういう悪質な製品が先行して市場に多く流れてしまったため、あまりLEDはアピールしたくはないですね。マネされてトラブルになるかもしれませんし」

片岡「クレームになっちゃ、たまらないなぁ」

柾「客にアピールするなら、プリウスのように従来の製品から新製品に置き換えることで、利用者側の省エネにつながる、という方向性で経済戦略を練った方がよいと思いますよ」

片岡「エコ製品を作れと?」

柾「ありていに言えばそうですが、、、」

片岡「とはいえ、そういう製品は取り扱ってないからなぁ」

柾「いえ、そういうのは意識しなくてもいいと思います。結局、今ある製品の改良がすなわちエコにつながるんですから?」

片岡「どういうことだ?」

柾「部品やデザイン、導入している製品の品質などが改善されることで、トータル的に投入資源量が減少したり、製品のエネルギー消費効率が改善されていきます。でもこれって、今やってる歩留りの向上と同じことなんですよ」

片岡「まぁ、そうとも言えなくもないか」

柾「下手にエコを意識して、今やってること、今までやってきたことを否定する必要はないんですよ。省エネのためにLED、ソーラーパネルってのは、ぶっちゃけ余計なことでしかないです」

片岡「なるほど、下手の考え休むに似たりってわけか」

柾「その通りです。エネルギーの供給も経済とは切り離すことはできませんから、変に政府が口を出さない方がうまく回るでしょうね」

片岡「そうか?」

柾「ええ、結局彼らは利権を得るため、自分たちの仕事を守るため、利益を守るために、国民を騙しているにすぎませんよ」

片岡「なんか、どっかで聞いたことがある話だな」

柾「織田信長の楽市楽座のように、既存の精度をぶっ壊すくらいの思い切ったことをやらないと、日本の経済は再生しません。再生可能エネルギーの前に、国の組織体制を壊して再生する方が先なんだと思いますよ」

2 件のコメント:

  1. >60W相当って書いているのに暗くなったというクレーム
    ううむ、やはりそう思うのは鶏だげはなかったか。最近の家庭用照明器具は豆球だけLEDのものが多いんですが、これがホントに暗い!
    ユーザーのためにならないのだから、安易なブームに乗らず、即刻止めて欲しいものですね。

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    1. LEDはシーンの選択が難しいというだけで、問題ないものは本当に問題がないんですよ。
      しかし市場は 「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則が発動した状態に近い状況です。
      先日覗いたホームセンターでは、「60W相当」という表示の問題は解決されましたが、光束量の小さいものは普通に売られており、安価なのは20W~40Wクラスばかり。それでも光束量を基準にきちんと「20W相当」「40W相当」と記載があればよいのですが、表示されているのは光束量のみ。
      ユーザービリティを考慮した表記をしているのは大手のみで、安価なよくわからない中小企業名の製品はどれもこれも、顧客満足度なんて考えずに売ることばかりでうんざりしました。
      環境省や大手TV会社は省エネにLEDを進めた以上、しっかりと責任を取ってほしいですね。

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