2014年5月16日金曜日

南極の氷河融解、氷床の融解につながると数メートルの海面上昇に

記事:南極の氷河融解、氷床の融解につながると数メートルの海面上昇に


 米国の科学者グループは12日、南極大陸で6つの氷河が急速に溶け出し、それによって世界最大級の氷床の1つがむしばまれようとしていると発表した。このまま放置されれば、膨大な水が海に流れ込んで、世界的に海面が向こう数世紀にわたって数メートル上昇する恐れがあるという。

米国航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)とカリフォルニア大学アーバイン校の2つの研究者グループは、人工衛星による数十年間の観測と航空機からの観察の結果、これら氷河の後退は既に「もはやあと戻りできないポイント」に達したかもしれないと推測している。

氷床は広大な大陸規模の氷帽(ice cap)の一部で、厚さは場所によって数マイルにも及ぶ。氷床は氷河の流出によって縮小する。湖が川からの水の流出によって縮小するのと同様だ。研究結果は米国地球物理学連合の学会誌「ジオフィジカル・リサーチ・レター」に掲載される予定だ。

氷河の融解だけでも既に毎年、グリーンランドの氷床全体と同じ程度の海面上昇の要因になっている。こうした南極沿岸部の氷河から溶ける水は全体で見ると海面を4フィート(約120センチ)押し上げる可能性があるという。

研究を指揮したNASAの氷河学者エリック・リグノット氏は「氷は今後何十年、何百年にもわたってこのセクター(分野、領域)で後退していくだろうし、われわれはそれを阻止できない」と述べ、「こうした氷河の後退ペースは将来、鈍化するよりも加速する公算が極めて大きい」と語った。

急速な融解の原因について、研究者チームは広範な気象変動によって引き起こされたと述べ、例えば地域的な気温の上昇、大洋の海流の水温上昇、風の吹き方の変化を挙げた。

だが、極氷の専門家がもっと懸念しているのは、氷河の変化が南極大陸の膨大な「西南極氷床」の安定を脅かすことだ。「西南極氷床」は地球の海面を10フィート(約3メートル)上昇させるほどの量の水を氷の形で閉じ込めているからだ。南極大陸には全体として、地球の淡水の約60%が何百万ないし何千万立方マイルもの極氷(polar ice)の中に閉じ込められている。

これまで専門家たちは、沿岸氷河は、海底に結合した状態にあり、それが氷床を安定させていると確信していた。だがこの沿岸氷河が近年、海水温の上昇によって浸食されるにつれて海底から遊離して海に浮かび、溶解の速度を上げているという。

この研究とは別に、ワシントン大学の研究チームは、沿岸氷河の融解によって西南極氷床が崩壊し始めているというコンピューターによるデータ解析結果を今週、米科学誌「サイエンス」に発表する。同チームは200〜900年で氷床が完全に消滅すると推測している。


この記事の大元は、下記の記事の続報だと思われます。

記事:南極から分離の巨大氷山が漂流 船舶に危険も

(CNN) 南極から分離した巨大な氷山が大陸を離れ、外洋に向けて漂流している。冬を迎えると追跡が難しくなり、船舶の航行に危険が生じる恐れもあるという。

米航空宇宙局(NASA)地球観測所によると、この氷山「B31」の面積は約660平方キロ、厚さは約500メートルあまりとみられる。

2011年、南極のパインアイランド氷河に亀裂が観測され、13年11月に同氷河から分離した。その後はパインアイランド湾を離れて南極大陸西部のアムンゼン海を漂流。間もなく外洋の潮流に乗る見通しだという。

南極はこれから冬を迎えて太陽の出ない日が続くようになり、この間は氷山の追跡が難しくなると研究者は懸念する。これほどの規模の氷山になると、溶けるまでには1年以上かかる見通しだ。

これまでの観測史上最大の氷山は南極のロス氷棚から2000年3月に分離した「B15」で、1万1000平方キロもの面積があった。既に崩壊しているが、一部はまだ南極大陸の周辺に残っている。


この記事でよくわからないのが、タイトルにある「数メートルの海面上昇」という部分。

すでに氷山は海中に存在しており、南極から流出したとしても、その体積に相当する範囲で海面が上昇するわけではない。その範囲で上昇するのであれば、すでに上昇した状態でなければおかしくなる。

なので、海の保有する水の総量は変動しないということにつながり、海面の上昇はあくまで現在存在している氷が融解し、熱膨張した部分のみ有効となる。
氷が融解するとき、周囲の熱を奪う為、その周囲にある海水の温度を下げる。その為、海水の体積は縮小するわけで、その熱エネルギーの収支結果と海面の上昇における収支はどのように考慮するのか?

仮に氷が水に変化した場合、体積の膨張はどの程度になるのか?
知っている人は知っているが、水の温度変化における体積の膨張の計算は、

V=V0 + V0t/273=VO×(273+t)/273
273+t=Tとおくと
V=VOT/273
V/T=VO/273

で、表すことができるが、実際は物質ごとに特性があり、水の場合は下記の通り4℃が最小となる。

水1gの体積変化

今回の場合、仮に0℃の氷が融解して16℃になった場合、1gあたりの体積増加量は1.0010-1.0002=0.0008mlとなる。
氷山の現在の体積が「660平方キロ、厚さは約500メートル」なので、660km2×0.5km=330km3
1km3あたりの体積増加量を求めると、800L/km3となり264,000L
熱膨張により264t程度の体積増加が見込めると。

東京ドーム二個分程度でしょうか。


この数値を見ると、今回程度では海面上昇に寄与するとは考えにくいのですが、まぁ記事は「温暖化により氷が海に流れ込み、水の総量が増加した場合」とあるので、今後のことも検討したうえでの数値なのでしょう。

とはいえ、温暖化とは、放射される熱エネルギーの数量がCO2の保熱能力により減ることが原因であれば、入射される熱エネルギーの蓄熱能力とは反比例すると思うんですよ。

それに、温度が上昇するということは、その分蒸発する水量も増加することでもありますし、全体の水量が増えるということは、水圧にも影響を及ぼすわけで、その分の体積圧縮量も増加すると考えられます。
蒸発水量が増加するということは、その分雨雲の数も増えますから、太陽から入射するエネルギーの反射数量も多くなりますし、地球の平均降雨・降雪量は増加するんじゃねーかなと。

仮にそれでも海面が上昇して何らかの対策を行わなければならないのであれば、それはもうCO2の排出量を減らすことで防ぐことはできないのですから、別の手段を講じるべきでしょう。
今の世界情勢を見ると、CO2に対する規制をかけようとする行動は公平性を欠く行為でしかありません。
CO2の排出量のトップツーであるアメリカや中国が活動していないどころか、どんどん輩出していますし、オーストラリアも新政権になって環境保護を止めて、経済優先にシフトしました。
記事:環境破壊に突き進むオーストラリア


温暖化というその原因が根本的に不明確であり、その原因を取り除くことが不可能である以上、結果に対して各国が独自に対応していくのが筋だと思うんですけどねぇ……。

結果、、、つまり海面上昇と天候の不安定さ、、、ですか? CO2なんてよくわからないものに金を使うのではなく、ようするに、治水事業と農地政策に金を使えと。

2 件のコメント:

  1. 現状、日本が爪に火を灯すような節電をしたところで、虫国とダメリカがあのザマではどうにもなりますまいに。
    まして現在の技術ではほぼ何の意味もない太陽光パネルに補助金を出すくらいなら、今後も増えるであろうゲリラ豪雨や豪雪対策に特化するべきです。

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    1. 名古屋鶏様、まいどです。
      >今後も増えるであろうゲリラ豪雨や豪雪対策に特化するべきです。
      そのとおりですね。
      省エネについては、車の燃費もそうですが、企業の競争に任せて手を引く方が建設的です。
      正直なところ、行政は優先順位を間違っているとしか思えませんわ、、、

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