2019年12月27日金曜日

HDDの処分はどうすれば?

HDDなど転売「7844個」──行政文書流出、ブロードリンクが謝罪 ずさんな管理体制明らかに
容疑者のHDD出品、入社後急増 落札総額1200万円

HDD転売ニュース、富士通リースは廃棄物処理法違反じゃないの?

って思った。

また、幾つか疑問に出てきた点があるので考察します。




パソコンはパソコンリサイクル法というものがあり、処分に関しては製造メーカーがリサイクルする義務があります。
ただし、これは家庭向けPCに限った話で事業者を対象としているわけではありません。

リース会社は当然事業者に該当するので、リース会社が購入しリースしているパソコンの処分は事業者がリサイクルの義務を追います。

注意点は、電化製品は金などの貴金属が使用されている為、「売却」することが出来ます。

1円でも値段が付く場合は、廃掃法の対象とはならないので売却した場合は、産廃処分の時のようにマニフェストは必要となりません。

逆に、産廃になれば責任は排出事業者が責任を負う事になります。

今回のHDDの件はどうでしょうか?

HDDの所有権利は誰か?
リース契約でHDDのデータの処分までか物理破壊まで盛り込まれていたかは不明ですが、物理処分まで記載されていた場合は資産価値も機能も失うわけですので、本来であれば「HDDはリース契約先の買取扱いになるのではないか?」と言う点があります。 なので、物理破壊まで含まれていた場合と、そこまで含まれていない場合とで別に考える必要があります。
物理破壊まで契約に盛り込まれていた場合
 コピー機のリース契約の場合、コピー機を壊した場合は損害賠償請求されるか、メンテナンス含めた契約で保険対象となるのかのどちらかの対応となるようで、所有権は委譲されずに必要に応じて別途買取などの契約が発生するようです。  以上を踏まえるとHDDの所有権はリース会社にあり、契約後に「物理破壊すること」 という文言が法令上有効なの怪しいといわざるを得ません。
問題なくするのであれば、「HDDは契約満期後、リース契約したお客様に委譲する」という契約内容を盛り込むなどでしょうか?
そして「移譲されたHDDの物理破壊をリース会社が請け負う」という文言が盛り込まれた形で契約されるという形でしょうか。
 仮に自身に所有権の無い、他人の所有物を破壊する契約が成立したとしても、「処分」まで契約に盛り込むのであれば、法令上の「排出事業者」は所有者であるリース会社ではなく、廃棄を指示した契約先の会社(今回で言えば官公庁)じゃないの?と思うんですよね。さらに言えば、排出されるゴミ(HDD)は契約先の会社の住所内で使用されていた物品ですから。

であれば、法令上はどうなっているか?

 所有権を持つ人が排出事業者じゃないの? こちらを参考にさせていただくと、法令上は「定義されていない」が、判例にて「事業活動の主体となる事業者が排出事業者」となると結論図されています。
これらから考えると、HDDを「鉄くずとして売却」するなど、「産業廃棄物」でない形で処理しない場合は、排出事業者は今回のケースで言えば官公庁が対象になると言わざるを得ません。
ただし、契約上 「物理破壊しろとは言ったが、破壊した後のHDDをゴミとして処分しろとは言っていない」 となった場合、 「破壊されたHDDなんてゴミとして処分するしかないのだから、契約に記載の有無に関わらず処分まで含めた形であることは明白だ」 となるでしょう。
とはいえ、 「売却するかゴミとして処分するかはリース会社が決定することであって、その決定に契約先(官公庁)は関わっていないので、排出事業者に当たらない」 と切り返されるのは目に見えた話であります。

 三権分立されていない司法は、間違いなく官公庁側に添った判決を下すでしょう。

 さて、となれば排出事業者は限りなく官公庁であるがクロではないのでリース会社になってしまいます。 とても、残念です。
データフォーマットまでの場合
処分しろと契約書に記載されている、いないに関わらず、データフォーマットまでであれば、HDDは動くので製品として売却しようがしまいが請負会社の自由でしょう。

つまり、処分会社にHDDを売却した扱いと変わらないはずです。
マニフェストを発行していない時点でリース会社側の責任となります。
HDDを有価物として処分したとしても、フォーマット作業の契約とあわせて実施されており、リース会社がお金を支払ってしまっているのであればそれは動きません。
 (処分会社がお金を支払っているか、リース会社が支払っているかで変わってくる)
今回のケースは?
Wiki:ブロードリンク 今回の例を見ると、リース品を処分会社が「買い取っている」と言う形です。
そのため、マニフェストは発行する必要がありません。
 そのため、廃棄物処理法違反には当たらないという結論です。
HP上は「物理破壊」まで謳っていますが、これが騒動後に追加されたものなのかどうかが不明です。
写真を撮るなども同様です。

総称

結論は、売却しているので、産廃にはならない。です。

ただし、課題としてリース会社はHDDの処分に対して、エビデンス(証明書)をキチンと管理していたのか不明です。
産廃ではないが、情報処分の処分確認を実施していなかったという事実は残り、リース会社側は「なにを確認していた!?」というお叱りは受けるべき事件です。

やってもいない物理破壊の証明書を作成し、物理破壊したHDDの写真を沢山取っており、そのストックから持ち出した写真を利用して処分をごまかしていた。となれば、今回の騒動後も対応は難しいと言わざるをえませんが……

また、官公庁側は今回の件を受けて、どのような対応策を講じるのか?
自分達には責任がありません!として、業者に対応を任せるのか?
任せた結果が情報流出だったという事実に目を背けた行動をとるのか?

ベストはリース終了後HDDだけ買い取り、自分達で物理処分した上で、売却するなり産廃処分するなりの手続きを行うことです。
そもそも、フォーマットすらも業者任せって言うのがバカの極みでしょう。フォーマット前にデータを抜き出されたらどうするのでしょうか?

今回の件、HDDという物質的なものを「売却」することが目的だったわけですが、情報的なものを「売却」することが目的だった場合、果たして犯人は見つかったでしょうか?

こう考えると、行政側の「情報」に対する意識の低さが今回の騒動の根本にあるきがしてなりませんね。

2 件のコメント:

  1. なるほど、おっしゃる通りですね。私はてっきりマニフェストなどは法律通り処理されていたのかと思っていました。

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  2.  こんにちは。

    今回のこのケースに関しては、マニフェストが発行されていないので「処分」という言葉も適切ではないのかもしれませんね。
    言葉を飾れば、「リサイクル処理」かな?

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