とあるヒトコマ。
「サーバーの台数を減らすことを、
環境側面に記載することを検討してください」
「え?」
「台数が減ると言うことは、その分電力の使用量が減ると言う有益な環境側面となり
ますから」
「いえ、単にサーバーの稼働率を考慮して集約した方が管理コストがかからないというだけで、別段環境の目標に設定していたわけでもなければ、eco目的で減らしたわけではないのですが」
「それは分かりますが、減ることによる環境側面として抽出されることが望まれているわけです。ISOの規格では環境側面の抽出をうたっています」
「環境側面は事業活動に付随する管理要求のある環境面を対象にしているのでしょう? サーバーの運用は事業活動上必要なことで、そこにある環境側面はサーバーを動かす為の電力と空調の電力の二面のみで、台数の増減をわざわざ環境側面に記載しなければならない物なのですか?」
「当然です。環境に影響を与えたわけですから」
「いやいや、そんなことを言い出したら、空調の影響なんて、気象の影響を大きく受けますよ。今年の夏は例年に比べて寒冷だったからと言う理由で、有益な環境側面として記載しますか?」
「気象は直接的にも間接的にも組織が影響を与えることが出来ない項目でしょう?しかし、サーバーの運用台数は組織が直接影響を与えることが出来る要因です」
「ああ、言い方が悪かったですね。プリンタを大型プリンタに変えて、台数を減らした。リース品の要求に環境に関する項目を追加した。新入社員が来たのでパソコンを増やした。そんな小さな内容を『記録に記載する』ことに、どのような意味があるのですか? と尋ねているのです。ISOって、マネジメントシステムですよね? それが組織の経営にどのように寄与するのでしょうか?」
「活動をきちんと記載することで、組織に対してどのように影響を及ぼしたかが明確になります。それが経営に寄与することに繋がります」
「(電気○とく子さんを購入しても、お父さんの小遣いはあがらないっつーねん)」
「いやいや、環境側面って、著しい云々をのぞいても、
結局それを『管理が必要と判断された』ことでしょう? 重要なのは『サーバーの管理』でしょう? どう『管理』し『運用』するかが重要であって、
台数や一台あたりのW数など、付随する『細目』に至るまで個別に抽出して管理することを、
本当にISOと言う規格は要求しているのですか?」
「管理可能であれば、管理することが望まれます」
「サーバーの消費電力なんて、
いちいちモニタリングしちゃいませんよ。当然でしょ。必要だから動かしているんであって、
必要な物を削減なんてしやしませんよ。著しい物を特定しろって言ってるのは、
組織の事業活動を行う上で、法的その他の要求事項を達成する、達成し続ける為に『負担になる』
と判断されたものでしょう?」
「その『判断』をする為には、当然評価も必要となりますよね? その判断する為に情報として環境側面として記載する余地があると申し上げているの
です。不要と判断したのであれば著しい環境側面とならない。
必要と判断したら著しい環境側面となる。当たり前のことではないですか?」
「程度問題があるでしょうと申し上げているのです。
サーバーといっても大規模に電力を消費する『設備』ではなく、デスクトップPCですよ!? 単に複数あるファイルサーバーを集約したというだけですよ。
常時使用しているパソコンが数台減っただけです。
減ればそれだけOSやらセキュリティソフトのライセンス数が減り
ます。それでも1台あたり2、3万ていどですよ。微々たる物です。
管理可能とかそういう以前の問題ではありませんか」
「しかし、やられていることでしょう。なぜ記載を拒むのですか?
」
「目的が記載するためでもエコのためでもないからですよ。
そもそも環境側面の抽出記録自体必要かどうかあやしいってのに」
「御社は作成しているではないですか」
「そう要求してきたのでしょうが。
ステークホルダーのあなた方が」
「そんなことはありません」
「……はぁ。ともかく、
そんな細かい小さいことまでいちいち記載するなんてのは、改善ではなく改悪でしかないので、
記載する以前に抽出することもしませんのであしからず」
「……」
「納得いきませんか? そもそもそれ以前の段階で、設備として監視対象とするかどうかから除外されているような物の側面の抽出なんて、
必要性がわかりませんね。規格要求はアホですか?」
「そんなことはありません」
「いや、だってねぇ。
そもそもプリンターなどを対称にしているのも理解に苦しみますよ」
「それは省エネ法で要求されているでしょう」
「本当に、
環境省は省エネ法の監視対象としてプリンターとかまで対象にして
いるんですか?
一般オフィス程度で使用されるプリンターまで対称にしているとし
たら、
バカすぎでしょう。
大型プリンターもった印刷会社とかを対称にしているなら理解できますがね。デマンドに影響を与えますから」
「オフィスのプリンターは与えないと?」
「プリンターの消費電力を問題視するのであれば、
それ以上に電子レンジや冷蔵庫、電気ポットに電気ストーブの方を問題視するべきでしょう。
そちらの方がよほど消費電力やらデマンドに影響を与えている。
それらを無視してプリンターを問題にするとか、ありえないですよ」
「…………」
「いや、失礼。言い過ぎました。
審査員も分かってていわなければならないという事情が御座いましたね」
「ここまで反発されるのは初めてですよ」
「大人気なかった所は反省いたします」
「それで、取り下げろという要求でしょうか」
「いえ、審査員も立場という物があるのでそこまでは申しません。
このまま記載されて結構です」
「では、」
「ですが、先ほど申し上げたとおり、『検討した結果不要』
という判断となりますので、そこはご了解ください」
「わかりました。私としても、
改善の機会はそこまで深刻にする必要の無いと思っておりますので」
「審査員が理解してくださる方でよかった。中には、
改善の機会であろうと取り上げて対応しなければならないという方もいらっしゃるので」
「確かに、いらっしゃいますね。事務局の方の中には、
対応することが誇りのように思われる方もいらっしゃいます」
「ああ。話には聞きますね。ですが、そちらの方が厄介なのでは?
」
「ええ。対応でいない機会については、
取り下げを要求してきますね」
「話の通じない人は、
審査側にも企業側にもいるというわけですか」
「本当は、そちらの『改善の機会』を出したいと思っていますよ」
「やれやれ。内部コミュニケーションがままならないのは、
審査側も一緒というわけですな」
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