人物紹介
「相田君、ちょっといいかね?」
ISO事務局である相田を呼んだのは、事業所の所長だった。
「所長、なんでしょうか?」
相田が立ちあがって所長に返事をする。私は所長の方をこっそり見ると、その手には先のISO審査報告書が握られていた。
「ちょっとわからないことがいくつかあってね。悪いんだけど、時間はあるかな?」
「はい、大丈夫です」
二人はそういうと、執務室に躾けられている4人座りの打ち合わせ小スペースに移動する。
この部屋で話をされると、話が筒抜けなんだけどな……と思いつつ、私はパソコンの画面に表示されたCAD図面に向き直り作業を再開した。しかし、やはりというか、執務室で特におしゃべりが行われていないため、相田と所長の話は私を含めて長尾や他の課員に筒抜け状態だった。